内反捻挫


内反捻挫

【発生機序】
・着地時に不安定な状態で大きく荷重がかかり、関節を可動域以上に動かした場合
*起り易いのは・・・
・ジャンプの着地の際に他の選手の足の上に乗ってしまう⇒バレーボール・バスケットボール選手に多い
・グラウンドの凸凹や溝などに引っかかって転倒⇒サッカー・ラグビーやアメリカンフットボールなどフィールド競技に多い
・切り返し動作(身体の方向を変えようとする習慣的な動作)の際に捻る⇒テニス・バスケットボール選手に多い
・ベースランニング中やスライディングで⇒野球・ソフトボール選手に多い
・日常生活でも、段差で踏み外したり、ハイヒールを履いて足関節を捻った場合など
・また、成長期の選手は、筋の柔軟性よりも骨の成長が早く、骨折を生じる事もみられます。

 

 

【症状】
・痛み:安静時痛・運動時痛
・圧痛
・熱感:患部の熱っぽさ
・腫れ:時間の経過とともに患部周囲にも範囲が広がります。
・皮下出血による変色:時間の経過とともに患部周囲にも広がります。

内反捻挫では、外側の3つの靭帯を傷める事が多いです。前距腓靭帯の損傷が最も多く、また、20%近くは、同時に踵腓靭帯も損傷される*そうです。時には内側の靭帯も損傷されます。
その他、受傷機転によっては、遠位脛腓靭帯結合・二分靭帯も損傷しやすいです。

損傷の重症度は、次の3段階に分けられます。
・1度 痛み・腫れは軽度で、靭帯が一時的に伸びている(または微細断裂)。関節の不安定性はなく、歩行や軽い走行が可能。
・2度 靭帯の一部が切れている状態(部分断裂)。痛み・腫れがあり歩行がやや困難。
・3度 靭帯が完全に切れていて(完全断裂)、痛み・腫れが顕著、関節の不安定性が強く、歩行が困難

 

 

【評価】
・既往歴の確認(問診):既往歴と、受傷時の状況・POP音が聞こえたかなど
・患部の観察(視診)と触診:歩き方や表情・患部の腫れ/変形/変色など、患部の熱感/かたさ/圧痛部位など確認
・スペシャルテスト
1)圧迫テスト:足首くるぶしを両側から圧迫し、痛みがあれば陽性
2)前方/後方引出しテスト:前距腓靭帯・踵腓靭帯/後距腓靭帯
(アキレス腱と踵骨をおさえ前方・後方へ引き出し、痛み・動揺性をみる)
3)内反ストレステスト:前距腓靭帯・踵腓靭帯(脛骨前方と踵骨をもち内反誘導、動揺性をみる)
4)外反ストレステスト:三角靭帯(脛骨前方と踵骨をもち外反誘導、動揺性をみる)
他)遠位脛腓靭帯は、圧痛と「背屈ストレステスト」。(背屈強制し、痛み・動揺性をみる)
他)二分靭帯は主に圧痛で判断。圧痛部位が、前距腓靱帯よりも前方です。

☆受傷後は適切な処置・専門機関の受診を!
※初期処置がとても大切になります。怠ると、治りが悪い・再発しやすくなります。また、不適切な対応(無理して運動を続ける、患部を放置するなど)により、痛みや不安定感が続く、可動域制限による運動障害、関節の緩み、それによる身体のバランスの崩れ、後遺症が出る事があるのです。
*「たかが」捻挫ではありません。同じメカニズムでも、骨折だって起こり得るのです。強い痛み・腫れは我慢せず、必ず専門機関を受診してくださいね。

 

 

 

【応急処置】
炎症・腫れを軽減させることが第一です。初期に抑えられれば、回復はより早くなります。

・まずは冷やす!
・受傷後24~72時間はRICEの徹底、を勧めています。